こんにちは、IverAviです。
当ブログはクリプトに関する知識をより多くの人と共有するため、初心者にもわかりやすく解説する記事を挙げています。
2025年6月18日、アメリカで「GENIUS法案(修正版)」が上院を通りました。
GENIUS法案は、「ステーブルコインのための指導と確立」を目的としており、本格的にアメリカの「デジタルドル」への道が一歩前進しました。
今回はそんなビットコインを絡めた、ステーブルコインの今後の動きについて解説していきたいと思います。
どうぞよろしくお付き合いください🙇
アメリカの財政は破綻している

アメリカという国はここ20年、特にリーマンショック以降、国の借金を急激に増やしてきており、今や35兆ドル(約5000兆円)の連邦債務にまで膨れ上がっています。(医療保険や社会保障費などを合わせると約160兆ドルとも…。)
毎年歳出のほとんどは債務の返済に回され、その中身は「借金の返済のために借金をする」という、もはやどうしようもない「負のスパイラル」から抜け出せない状態が続いています。
返済期限が近づくたびに「債務上限問題」が浮上し、議会の取り決めにより「上限引き上げ」を決定することで、何とか「政府機関の停止(国家デフォルト)」をしのいできました。
バイデン前政権にいたるまでその借金体質は変わらず、もはや制御不能なところまで来ています。
つまり、アメリカの財政はもはや限界を迎えており、世界の共通通貨である米ドルの信用は地に落ちてしまっているが現状です。
ステーブルコインと米国債
アメリカが債務危機となれば、国債の入札が行われなくなり、ドルの信用を大きく損なう事態にまで発展します。
そこでドルの信用を回復させるための新たな金融システムづくりの一つが「ステーブルコイン」です。
ドルを裏付けとしたステーブルコインは、今や米国債の重要な購入手段として登場しており、その額は約1200億〜1500億ドル相当にまで上っています。
TBAC(財務借入諮問委員会)によれば、この額が2028年までに2兆ドルに増加し、世界第1位の保有国である日本を追い抜くと予想されています。

中でも、「テザー(USDT)」と「Circle社(USDC)」といったステーブルコイン発行企業が、米国債を多く持っています。
TBACのレポート曰く、
ステーブルコインは、法定通貨(米ドル)などの準備資産に価値を固定することで、安定した価値を維持するように設計されたデジタル資産である。
つまり、ステーブルコインによって米国債を買い、ドルの需要を増加させようとしています。
ここ10年の間でステーブルコイン企業という新たな買い手が現れたことで、効率のいい資金調達が可能となり、国の財政が逼迫するのを防ぐ手段が出てきたと言えます。
USDTやUSDCなどのステーブルコインは、DeFi(分散型金融)ネットワークを通じて取引が行えるため、世界中の買い手がアメリカの財政を支えることになり、米ドルの世界的な優位を強化することにつながっていくとされます。
実際にアメリカの財務省は、ステーブルコイン発行企業による米国債の大量購入から利益を得ており、購入されるたびに連邦債務の返済に回されています。
新たな需要が提供されたことで、基本的にリスクの少ない国債利回り(利子)の恩恵を受けていると言えるでしょう。
テザー(Tether)の役割

ステーブルコインの代表格「USDT」の発行企業であるテザー社(Tether)は、すでに大量の米国債を保有しており、その総額は1020億ドルを超えています。
これは世界中の4億人以上のユーザーがUSDTを保有しており、米国債市場のリスク分散が行われていることを意味します。
今やテザー社の現金(預金等)で持つ米ドルの額は、世界中に出回っているUSDTの総額を上回っているため、いつでも換金ができる態勢が整っていますです。
🇨🇳中国や🇯🇵日本などの最大保有国に比べればはるかに小規模ながらも、購買力が集中せずにリスクが分散されているため、仮に大規模な売り出しが行われたとしても損失は最小限に抑えられるとされます。
なぜなら、すでに🇦🇷アルゼンチンや🇧🇷ブラジル、🇹🇷トルコなどの南半球の国々では、多くのUSDTが保有されており、テザーはその国の国民一人あたりの米国債を買うことになっているからです。
そう言った意味でもテザーは、アメリカ政府にとって最重要なパートナーであることは間違いないでしょう。

テザーの「USDT」は、国際的な準備通貨である米ドルの将来を支える唯一のトークン(仮想通貨)とされ、同時に連邦債務の返済能力を維持するという国益にも貢献し、多くの国々による「脱ドル化」を阻止する手段になるとされます。
テザー社は、世界市場における米ドルの優位性を強化する絶対的なポジションにあると言えます。
懸念
トランプ政権は、政府発行の「CBDC(中央銀行デジタル通貨)」を禁止したことから、全米から絶大な支持を得ました。
政府発行のデジタル通貨となれば、国による監視や押収の権限が強化され、デジタル社会の中で国民を統制することが容易となってしまいます。
しかし、それは政府に限らず民間企業によるトークンでも同じことが起きる可能性があり、むしろ“それ以上のことが行えるのではないか?”という心配があります。
ステーブルコインで中央集権化?
CBDCとステーブルコインに違いがあるとすれば、主に「政府」と「民間」のどちらが発行しているかという点にあります。
なぜなら、どちらも「監視」と「プログラムを組む」という点では同じ機能を有しており、多くの人がこうした通貨を「自由」と「プライバシー」への脅威と見なす要因となっているからです。
トランプ大統領がCBDCを禁止する一方で、ステーブルコインを支持しているのは、あくまでFRB(連邦準備制度理事会)による直接的なデジタル通貨の発行を拒んだものであり、監視可能なプログラムの通貨を拒否したわけではありません。
CBDC禁止をめぐる動きは、共和党と民主党の両議員からも認められていることです。
しかし、ステーブルコイン業界については長年放置されてきた形跡があり、主にイーサリアム上で発行される「プログラムの組み込み」や「差し押さえ」、「検閲」を可能とするERC-20トークンは、1500億ドル以上の発行額にまで成長しています。
これはつまり、「分散性(仲介なし)」が売りのWeb3業界にとっては、非常に「中央集権」寄りなやり方であるため、「大いに矛盾しているのではないか?」と批評する声も上がっています。
業界はテザーの独占場になる?

テザーは2015年に誕生してからわずか10年足らずで、2020年時点の時価総額が100億ドルを超え、アメリカ国債全体の約10%を単独で保有しています。
そのため、もしアメリカがどこか制裁を加える国があれば、テザーはUSDT資産凍結の権限が与えられます。
実際にもうすでに2023年に🇺🇦ウクライナや🇮🇱イスラエルのテロや人身売買との関連が疑われる、32ものウォレットを凍結したりしています。
昨年の2024年には🇻🇪ベネズエラ直営の石油会社の資産を凍結する約束までしており、その結果としてテザーはアメリカの外交政策の「道具」として機能する計画を明確にしています。
かつて米軍は過去に、世銀やIMFなどを政府が使用する「金融兵器」と位置付けていたことがあり、それと重ね合わせれば、テザーがアメリカのその兵器庫に一歩近づくことは確実でしょう。
テザーのような時価総額3位(1400億ドル)のステーブルコインは、全体的なドル体制、ひいては政府とますます密接に絡み合うことになっていきます。
そうなれば、最終的に米ドルへの信頼は回復していき、グローバル経済の共通通貨として見直されることで、アメリカの国際社会での覇権が維持される可能性はゼロではないでしょう。
どうなるにせよ、テザーのような民間企業が、アメリカの国家債務の返済の役割を負うのは確実です。
すべてはビットコイン次第

トランプ政権は、ステーブルコインの普及を急加速させると同時に、ビットコインを制御不能な連邦債務の“受け皿”として利用する構えを見せています。
トランプ大統領は、2024年7月にテネシー州ナッシュビルにて開催された「ビットコイン2024カンファレンス」において講演した際、「アメリカをビットコイン大国にする」と豪語し、その構想に基づいて実現しようとしているのが「戦略的ビットコイン準備金」です。
アメリカはビットコイン最大の保有国の一つです。
石油などのエネルギー商品でドルの需要を生み出す「オイルダラー(ペトロダラー体制)」と同じように、ビットコインを準備金として備蓄することで、アメリカドルの優位性を再構築する狙いがあります。
そうであれば、このままビットコイン価格が世界的に上昇し続けていけば、インフレする米ドルの需要が常に存在することになります。
そして、アメリカ国内で保有されている巨額のビットコイン準備金によって、さらなる富の増大が予想されます。
テザーのステーブルコインの普及にも、ビットコインが中心的な役割を担うのは間違いなさそうです。
時代遅れの決済システム廃止

ステーブルコインが中央集権化するなり、ビットコインがドルを維持するにせよ、どのみち今の金融システムが限界点を迎えているのは自明の理です。
SWIFTに見られるような国際決済システムでは、送金時間やコストがかかりすぎ、全て間に合わせの対応(情報の行き来)が横行しているだけです。
従来の時代遅れなシステムでは、国境を越えた取引に大きなひずみが生まれ、先進国以外の個人や企業にとっては非常に狭い選択肢しかありません。
こういったジレンマはブロックチェーンのネットワークで解決できる可能性があり、国境を越えた送金がメールを送るのと同じくらい簡単にする必要性が出てきます。
ブロックチェーンをベースとした通貨は、世界の金融に革命を起こす可能性を秘めているのです。
法定通貨へのアクセスの民主化
不安定な経済や政府をもつ国々の人にとって、特にステーブルコインは貯蓄の安全な避難場所となりえます。
米ドルと1:1のレートで連動するステーブルコインは、これらの地域の消費者に、インフレや通貨の切り下げから身を守る「信頼」と「透明性」のある代案を提供し、時代遅れな金融システムから逃れる手段となります。
これらは、経済の不安定さによって苦労して得た収入や貯蓄の価値が損なわれる新興国や発展途上国(特に南半球)にとっては特に重要です。
中小企業やフリーランサーを支援する
ステーブルコインは、国際決済に伴うコストと複雑さを大幅に削減し、中小企業やフリーランサーがよりフェアな条件でグローバル市場に参加できます。
これによって、発展途上国における起業と経済成長の新たな機会が生まれます。
例えば、企業が従業員に給与を支払うとなれば、それがスマートコントラクトの機能によってテザーのUSDTに入金され、フリーランサーのウォレットに即座に送金されるといった具合になっていくと言われます。
また、これによりグローバルな人材にアクセスしやすくなり、スキル差を埋め合わせやすくするのに最適なツールになることは確実です。
実際にそんな動きが南半球で始まっていたりします。

まとめ
以上でビットコインとステーブルコインの今後の動向についての解説でした。
まだまだこれからどうなっていくか未知数ですが、できるだけあらゆる方面の海外記事を参考にしてまとめてみました。
以下まとめになります。
- アメリカの国家財政は破綻しており、その救済策として「ビットコイン」と「ステーブルコイン」の導入が検討される。
- 米ドルを紐づけたステーブルコインは、すでに米国債市場にとってなくてはならない存在になりつつある。
- 「テザー」や「Circle」などをメインとしたステーブルコイン企業の国債保有額は、市場の10%以上を占めている。
- 世界中の「USDT」や「USDC」の購入者が、アメリカの財政を支え、米ドルの強化に寄与する。
- 特にテザーの「USDT」は、米ドルの需要を支え、外交政策の「武器」として機能するほど国家にとって重要なトークンとなりつつある。
- ステーブルコイン企業(テザー)によって、「資産凍結」や「監視」、「検閲」、「プログラム修正」の権限が集中し、仲介者を介さない「分散性」が損なわれる可能性がある。
- ステーブルコイン普及のためには、準備金によるビットコイン価格の高騰が必要不可欠。
- イーサリアムのスマートコントラクト機能により、世界中のステーブルコイン取引が容易となり、既存の金融システムの決済手段に終止符が打たれる。
アメリカ経済の破綻は、これまで幾度となく警鐘が鳴らされていました。
果たして今回のトランプ政権の改革によって、この難局をどう乗り切るのか?
個人的にすごく気になるところではあります。
以上となります。
ここまでご一読くださりありがとうございました。🙇
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